伝統文化を守る会

☆企業会員・有限会社管城 代表取締役 鈴木一朗




◆商品(うるしの紅筆)


 


伝統工芸士・鈴木一朗 (すずき かずお)プロフィール


1943年 奈良県奈良市生まれ

1959年 父・一二に師事

1973年 名張市に転居、工房設立

1979年 奈良筆・伝統工芸士認定

1983年 奈良市に有限会社管城設立

1994年 全国伝統的工芸品展に出品、入賞、入選

1995年 全国伝統的工芸品展入賞「御筆」

1998年 全国伝統的工芸品展入選「寧楽」

1998年 近畿通産局長表彰

1999年 全国伝統的工芸品展入選「菩提」

1999年 日本伝統工芸士展入賞「弥生」

2000年 全国伝統的工芸品展入賞「うるしの紅筆」

2000年 日本伝統工芸士展入賞「撫子」

2000年 通商産業大臣表彰

2001年 全国伝統的工芸品展入賞「守撲」

2001年 日本伝統工芸士展入賞「長楽」

2002年 全国伝統的工芸品展入選「芳香」「懐」

2002年 から日本伝統工芸士展審査委員

2011年 「瑞寶単光章」受賞 他、文房四宝展、うるしの紅筆展、仕事展等多数


有限会社管城

奈良県奈良市肘塚町104-11

TEL/FAX 0742-24-0444

http://www4.ocn.ne.jp/~j-brush/


工房

三重県名張市東田原625-134

TEL 0595-65-3615

FAX 0595-65-3627


伝統工芸士とは?


 伝統的工芸品産業の需要拡大を狙って1974年(昭和49年)に誕生した制度。伝統工芸士は、その産地固有の伝統工芸の保存、技術・技法の研鑽に努力し、その技を後世の代に伝えるという責務を負っている。

 誕生時は通商産業大臣認定資格であり、経済産業大臣認定資格を経て、現在は(財)伝統的工芸品産業振興協会が認定事業を行い、厳しい認定試験に合格した方に、国の認定資格として与える称号。

 それぞれの産地を代表する最高の技術保持者、いわゆる「匠」である。平成23年2月25日現在、認定登録されている伝統工芸士は4,441名であり内女性は569名である。


伝統的工芸品とは?


 一般の「伝統工芸」などの呼び方とは別に、「伝統的工芸品」という呼称は、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」(昭和49年5月25日、法律第57号)で定められた。

 「的」とは、「工芸品の特長となっている原材料や技術・技法の主要な部分が今日まで継承されていて、さらに、その持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した製品作りがされている工芸品」という意味である。

 経済産業大臣指定伝統的工芸品は、伝産法に基づいて経済産業大臣により指定された日本の伝統工芸品を指す。


伝統的工芸品、奈良筆とは?


 奈良の筆作りの歴史は、今から1200年程前、空海が唐に渡った時に筆作りの方法を極め、日制度とともに全国で使用されるようになり、今日に至る。


伝統的工芸品リンク先

一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会、伝統工芸青山スクエア 

http://kougeihin.jp/home.shtml


毎日つかう贅沢品・・・鈴木一朗うるしの紅筆


 


 平成23年の勲章受賞、おめでとうございます。瑞寶単光章受賞の栄誉は、長年にわたる鈴木一朗先生ご自身のたゆまぬ努力と精進の賜物と、あらためて深く尊敬申し上げます。

 私と鈴木一朗先生との出会いは20年ほど前にさかのぼります。西村宏美は、着物地で創る洋服の専門店グランベルの開店を機に、宮城県白石市の農家のご婦人達にお願いして、畑や水田のあぜ道にサフランを栽培していただき、花のめしべだけを採取して乾燥させたものを1年がかりで作っていただきました。

 草木染めの中で、金色を発色できるのは唯一サフラン染だけだと聞き、草木染の金色の伝統織物に憧れを抱いたからです。翌年、そのサフラン染の原料を山形県米沢市にある置賜紬協同組合に持参して、伝統工芸士・佐藤栄(当時の組合理事長)に、織りと染色を依頼しました。翌年には5反のサフラン染めの置賜紬が完成しました。(米沢は250年の歴史を誇る東北随一の織物産地で、置賜紬は山形県の伝統的工芸品です)

 それがきっかけとなり、置賜紬の伝統工芸士の諸先生方から素晴らしい伝統織物を提供していただき、私はドレス製作に励みました。そして、1993年11月に全国伝統工芸士展が高知じばさんセンターで開催されました。

 主催は(財)伝統的工芸品産業振興協会・日本伝統工芸士会、後援は援は通商産業省(当時の名称)でしたから、全国の伝統工芸品産地から選ばれた約500名の伝統工芸士の作品1000点が一堂に会し、4日間にわたるそれは盛大なフェスティバルでした。

 私は伝統的工芸品を現代に生かした新しい活用方法の提案としてのコーナー「くらしへの提案広場」の中で、「置賜紬で創るドレス」10点を展示発表させて頂きました。代表作品は、サフラン染のカクテルドレス「幻の黄金鳥」でした。

 「幻の黄金鳥」の展示ブースの斜め向かいに「和紙・文具の広場」があり、挨拶に出向いた初対面の私に、鈴木一朗先生は紅筆をプレゼントしてくださいました。「遊び心で女性のために紅筆を作って見たのだけれど・・・まだ売りものではないけれど・・・奈良筆の技法を活かして作ってみました・・・僕は化粧をしないから、女性として使ってみての感想を聞かせてください・・・」静かに語る奥ゆかしい言葉遣いと、品性に溢れたものごしに接し、伝統工芸士とは仕事を通して培われたその人格までもが、人生の師と仰ぐにふさわしいものと私は感銘を抱きました。それが、私にとって鈴木一朗先生の第一印象でした。

 仙台に戻りしばらくして、グランベルには沢山の置賜紬の残布があることに気づきました。反物を直線だちの着物に仕立てると残布が出ませんが、カーブの多い洋服に仕立てると残布が出ます。試しにと残布をお送りしたら、沙芙蘭と書した桐箱に「幻の黄金鳥」の残布を筆管に貼った紅筆が私のもとに届きました。出会いから5年後、鈴木一朗先生は、伝統文化を守る会第一回、記念すべき初めての小さな講演会に講師として快く承諾を賜り、弊会にご協力していただきました。

 折に触れて、鈴木一朗先生自筆の達筆な毛筆のふみが届きます。行間には、お若くして匠を究め勲章まで受賞されてもなお、ご自身が満足のいくものづくりのために努力されるお姿を垣間見ることができます。

 謙虚なお心に接するたびに、本物の仕事とは・・・ものづくりの深さとは、日々研鑽を重ねる技術への探究心が、自らの心をも自然と磨き上げているものと感じ入ります。世界に一つ「私だけの宝物」は、長い月日を経て白かった桐の箱が今では暖かみのある艶をたたえ、眩しかったサフラン染の金色も柔らかな色にこなれてきました。


 長きに渡る鈴木一朗先生とのお付き合いに深く感謝申し上げます。

文 西村宏美


毎日つかう贅沢品・・・鈴木一朗沙芙蘭の紅筆(非売品)


 


思い出アーカイブズ

 伝統文化を守る会 第一回講演会「奈良筆の魅力」

 〜伝統工芸士・鈴木一朗氏を迎えて〜


 去る8月26日(水)に、伝統文化を守る会発足以来初の講演会がグランベルで行われました。鈴木一朗氏を前にテーブルを囲み、まずは会員それぞれが自己紹介。和気あいあいとした雰囲気で会は始まりました。鈴木一朗氏のお人柄でしょうか、講演会という堅苦しさはまったくなく・・・。そして、西村宏美から講師の紹介。いよいよ、鈴木一朗氏は静かな語り口で、演題「奈良筆の魅力」の講演がスタートしました。

 鈴木一朗氏は学校を出てすぐ、父(鈴木一二氏)のあとを継いで奈良筆の仕事に就きました。ご自分の好きな仕事ではなかったということで、最初の三年間は辛かったのですが、徐々に他人の出来ないことをしているという自信と誇りに変わっていったそうです。

 書道の筆は勿論、着物(友禅など)の絵筆、紋をかく筆、人形(京人形・博多人形など)やこけしの顔や絵柄をかく筆、陶芸で使う筆など、鈴木一郎氏のつくる筆はじつに多彩。よって、制作の依頼を受けた時はできるだけ当地に赴き依頼者と直接話すことによって、より満足のいくものを創って差し上げるようにと心掛けているとのことです。

 また、筆を創るだけではなく書の道を修め「青江(せいこう)」という号をもらい、自ら筆軸も彫っているそうです。

 鈴木一朗氏が受け継ぐ奈良筆の歴史は古く、今から1100年あまり前に弘法大師が入唐して造筆法を究め「坂名井清川」に伝授し、嵯峨天皇に奉献したという記録があります。その時代時代によって、または使われる字(漢字・かななど)によって、少しづつ形を変え、今の筆の形は明治の頃にできたそうです。筆の材料としては、穂先は動物の毛(イタチ・狸・馬など)、筆管はおもに雌竹や煤竹が用いられるそうです。


 


注訳)

 女竹・雌竹(めだけ)とは、イネ科のタケササ類。丘や河岸などに群生し,栽培もされる。高さ約5メートル,径約2.5センチメートル。竹の皮は永く稈(かん)上に残る。稈はうちわ・筆・笛などに用いる。

 煤竹(すすだけ)とは、古い藁葺き屋根民家の屋根裏や天井からとれる竹のこと。100年から200年以上という永い年月をかけ、囲炉裏の煙で燻されて自然についた独特の茶褐色や飴色に変色しているのが特徴。煙が直接当たっている部分は色濃く変色しているが、縄などが巻かれて直接煙が当たらなかった部分は変色が薄く、ゆえに1本の竹に濃淡が出て美しい表情をもつ。昨今は煤竹そのものの数が希少傾向にあり、価格は1本で数十万円以上することも普通である。

 他の材料として、例えば南天でも出来ないことはないが、この場合民芸品の趣が強くなるかも・・・とのこと。

 最後に、良い筆の選び方と洗い方を教えて頂きました。


良い筆の選び方


1見て形の良いものを選ぶ

2店の勧めるもの、または製作者で選ぶ

3値段で選ぶ(あまり安いものはダメ)


筆を長持ちさせる洗い方


1右手で筆を下向きに持ち、左手で穂先を持って回すようにしながら

2墨を浸して使ったところまでを流水で洗う。

3干すときは穂先を下向きに形を整えて吊るすこと。


 鈴木一朗氏は三重県の名張市に在住、伝統工芸士として筆の製作にお忙しい中、後継者の育成にも力を注いでおられ、実演会や教室なども積極的になさっています。そのような「有形」・・・形としての文化の継承は勿論のこと、「無形」・・・形にならない文化も大切にしていきたい。

 例えば「うちわ」は有形の文化、それを使うときの心・・・うちわであおぎながら昼寝をさせる母親の気持ちや、お客様に涼んでいただくという迎える側の気持ち・・・など目には見えない心の文化も伝えられたら・・・と、最後は心に染み入るお話でまとめていただきました。

 これからの伝統文化を守る会の在り方にも通じる貴重なお話をありがとうございました。会員の皆様には、お天気の悪い中お集まりいただきありがとうございました。

「伝統文化を守る会通信」1998年秋号より


現在、鈴木一朗作の紅筆は、「毎日つかう贅沢品・・・鈴木一朗うるしの紅筆」として製品化され、様々な素材とデザインが開発され、多くの女性に愛用されています。奈良筆のお問い合わせやご注文も含めて、詳細は、ご案内の各リンク先をご覧下さい。

(なお、グランベルの店舗でも一部の紅筆を販売しております)


鈴木一朗リンク先


有限会社管城


100超える手順 奈良筆の伝統工芸士 職人技で仕上げまで 名張の鈴木一朗さん


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